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2009年 08月 29日
選挙と公務員削減
今週号の週間金曜日の「風速計」は,中島岳志の「公務員削減は正しいのか?」だった.

災害救助隊にでも縮小再編したら良いと思う自衛隊とかを除き,感情的な議論をするのではないならば,これはもちろん「正しくはない」と思うが,うちの市長を筆頭に公務員を攻撃しておけば「票」になると考えている政治家は多いのだろう.もっともそういう意味では,通常自衛隊員は削減すべき「公務員」には数えられない...

昨日,組合の支部集会でうちの大学のパート職員のことも話題になった.大学の正規職員の削減を補っているパート職員の増加は,こうした公務員攻撃の「成果」の一つだろう.国立大学は小渕内閣の公務員20%削減の員数合わせで法人化された.当時,法人化推進の一番の謳い文句は,法人化すれば公務員定員の枠組から離脱し大学教職員が削減されなくなるというものだった,しかし,結局公務員の5%削減には衆参附帯決議も気にもしない閣議決定と,その後の行革推進法でしっかり組入れられ,各大学では人勧も完全準拠のなんのこっちゃ状態で,民間人になった大学教職員は,結局「公務員攻撃」の枠組みの中にいまだに滞っている.

組合が,うちの大学の第二期中期目標・計画(素案)にコメントを出せと要請している.あまり真面目にコメントする気にもならないのだが,上のような流れで見ると,それなりに楽しめる.例えば,「III.財務内容の改善に関する目標」の「2.経費の抑制に関する目標」は,

中期目標
「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成18年法律第47号)に基き,平成18年度以降の5年間において国家公務員に準じた人件費削減を行う.更に,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)に基づき,国家公務員の改革を踏まえ,人件費改革を平成23年度まで継続する.また経費の抑制に務める.

中期計画
「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成18年法律47号)に基づき,国家公務員に準じた人件費改革に取り組み,平成18年度からの5年間において,△5%以上の人件費削減を行う.更に,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)に基づき,国家公務員の改革を踏まえ,人件費改革を平成23年度まで継続する.

となっていて,(学内限定)とされている総務部担当の「具体的な施策」には,さらに「新たな人件費抑制の政策が出れば的確に対応する」とまで書かれている.これが大学の「目標・計画」なのと「普通」の感覚なら??になると思うが,どうもそうではないらしい.これを書いた人は,いったいどっちを向いているのやら.

「票」のために公務員攻撃など頑張ってしなくても,(公務員ですらない)現場が自律的に身を削る「空気」が出来あがっている.(復習しておくと,閣議決定を受けて,行革法の制定前に各大学がさっさと修正申請していることが,ポイントです...)


こうしてみると,このblogは,何度も何度も同じことばかり書いていて,「進歩」が全くないなあ...
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by nobu_san | 2009-08-29 22:19 | 大学問題
2009年 08月 26日
大学法人化と鳩山コメント
大学法人化に反対した「意見広告の会」のメールリストに,民主党の鳩山代表が, フジテレビの「新報道2001」で国立大学を独立行政法人化は完全な誤りとコメントしたことが流れた.全文は上のリンクをみてもらうとして,当該部分は以下.

こういった教育の中におけるコミュニケーション能力をいかに高めるかということとか、あるいは国家的なこの科学の水準を上げなければならないときに、これは数年前に国立大学を独立行政法人化したんですよ。あれは完全な誤りでね、あのことによって基礎的な科学の力がぐんぐん落ちてきてしまっている。こういうものを、もっと基礎的なものを持ち上げていくことが今の日本にとってものすごく大事なことだと申し上げておく

確かに,民主党は法人法案の時には反対していたように思うが,でも私の理解では,さらに一歩進んで「民営化」論じゃなかったっけ? 例えば2001年 5月24日 文教科学委員会の議事とか,アンケート結果とか...「徹底的に競争原理を導入するのであれば、中途半端な法人化よりも、思い切って国立大学の民営化を目指すべきだ」って主張していたのが民主党だと思う.

法人化は失敗だったけど,民主党の主張していたように民営化していたら良かったってことかな? 特にこのコメントの後半の「基礎的なものを持ち上げていくこと」が民営化していれば出来ていたというのだろうか?

鳩山さんの「新報道2001」のコメントはそうした「民営化」論とは違うように読めるのだが.実はかえって文科省(財務省か?)の統制が強化されてしまった中途半端な法人化でなく,いさぎよく民営化しなかったのが失敗だったということかな?...

2000年のマニフェストには,「国立大学の民営化によって、競争条件が対等になれば...」とあったり,「各大学には教育の質の向上、差別化へのインセンティブが与えられ」るとなっていた.「対等」ってどういうこと?「差別化へのインセンティブ」って何?
地方に総合大学がある意味は,どう考えていたのだろうか?


ちなみに,今回のマニフェストでは国立大学民営化論はなくなっていますね(下記訂正注あり).
文句言いとしては,意見広告の会のメールリストで,この情報が流れている意味も疑問を感じます.民主党を評価しろという意味ではないと思いますが...


2009.11.26 訂正(Aさんから,ご指摘をいただきました)
上の引用は民主党ホームページにある「一部抜粋」で,INDES2009には,

自公政権が削減し続けてきた国公立大学法人に対する運営費交付金の削減方針を見直します。また、大幅に削減されてきた国立大学病院運営費交付金については、地域高度医療の最後の砦であることや、医療人材養成の拠点、研究機関としての機能を勘案し、速やかに国立大学法人化直後の水準まで引き上げるとともに、今後十分な額を確保していきます。

と明記されていますね.鳩山さんの「顔」の表紙のマニュフェストで,戻すのは「病院」だけかと思っていました.
すみません.
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by nobu_san | 2009-08-26 23:53 | 大学問題
2009年 08月 26日
「立場」とブログ
ある情報を検索していたら,たまたま「ブログ止めました」となっているKEKの某「主幹」のブログに辿りついて,そこの記述が非常に気になった.こんな記述...

ところが、これがそうでもなくなったのはKEKに来てからです。最初にトラブルになったのは、ある法律について記事にしたときです。某政府機関のチェックに引っかかって、結果としてその記事を削除することになりました。その時言われたことは、「京大の准教授なら何を書いても構わないが、KEKは文部科学省の直轄研である。そこの教授がネットでものを書くときには、立場を十分に考えて書かなければならない云々」と言うことでした。

(中略)

気を使って書いていたはずの中でポロっと出てしまった本音の部分が、またもや某所から問題視されてしまいました。

どういうことについて,どう書いて問題になったのかが全然分らないですが...
御本人も「上からの圧力」とも書かれていますが,「某政府機関のチェック」というのがどういうものなのかと,「」内はその政府機関のコメントなのか,それともKEKのコメントなのかが非常に気になります.私としてはこのコメントがKEKの上層部からのコメントである方が「面白い」です.もちろん「某政府機関のチェック」というのも面白いですが...

もっとも,私自身も,私自身のポジションに直接かかわるようなことはここではちゃんと批判していないというズルい人間です...
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by nobu_san | 2009-08-26 09:05 | 大学問題
2009年 08月 11日
学生の授業評価コメント
耐震工事のための引越しがあるので居室の片付けをしていたら,前任校で最後にやった授業の「学生評価結果」が出て来ました.わざわざ郵送してくれていたものです.実は最近は授業のスライド作成に凝っているのですが,この当時はまだ「普通」のスライドでやっていました.40人弱の授業でしたが,学生の背景のスペクトルは広く,どのあたりをターゲットに授業するかを毎年悩んでいた授業でした.学生の側のコメントにもそれが出ているようです. 途中で2度版が変りましたが同じ教科書で7年やったかと思います.板書からパワーポイントに移行したのは4年目からで,移行した最初の年は,かなりはりきって,教科書の内容に最新の論文からの情報も加えてスライドを作って「その後」の話をしたら「教科書に書いてない」と非常に不評でした.次の年からは教科書からはずれないようにし,毎年「速すぎる」と書かれていたので年々使用するスライドを削除してゆっくり説明するようにしていって,この年が最後です.スライドの枚数では,初年度の2/3くらいになっているかと思います.でもまだ「速かった」んですねえ.「教科書」が指定されている授業だったので,次回どこをやるかははっきりしていたのですが,予習を前提に授業を計画してはダメだということが良く分ります.

田中 一著「さよなら古い講義」を参考にして,毎回の課題に「授業の内容の質問」を書かそうとしていた試みは,この年は学生に不評だったようです.この年から全授業にTAが付いたのでこの年はTAが回答を作成したこともあり,趣旨が徹底しなかったのかも知れません.以下が学生の自由記述のコメントです.


  • パワーポイントの授業の中でも特に分りにくいと感じた.もっと分りやすいストーリーのある授業になる内容だと思う.課題を解くにも,授業の話では分りにくかった.課題の"授業についての質問を書け"はやめて欲しいと強く思う.(「何も疑問が浮ばない」という学生を「質問書」に向かせるところまでは徹底できていなかったようです.)
  • スライドの内容は分りやすく,予習・復習はしやすいと思う.只,説明の仕方がわかりずらいことが多々あった.後,レポートの解答の説明が少しあっさりしすぎな感もあった.
  • より細かな内容は黒板に書いてくれれば,もっと分りやすかったと思います.パワーポイントはとても見やすかったので良いと思います.
  • (質問書で)授業中に習った内容の「質問」は禁止されていましたが,一度聞いても理解しきらない点もあるので,習った部分の質問も認めて欲しかったです.(これは,「私が話したことをそのままもう一度訊くな」という意味が分ってもらえていなかったようです.)
  • 早口で聞き取りづらかった.授業の内容はとても面白くて興味深い.
  • 毎週出されるレポートの最後の問題(授業内容についての「質問」を書け)が生徒・TA共に評判が悪いにもかかわらず,続けたのは正直良いとは思えなかった.(「生徒」ではないと思いますが,学生は「何を書いていいか分らない」.前年までは私が全部に回答して返却していたのですが,この年から全授業にTAが付いたのです.「回答をきちんとするのが大変」と,TAにも不評でした.)
  • "コレは知っていて当然だ"という感じの授業で,ついていくことは困難でした.(そんなに教科書から脱線はしなかったと思うのですが,教科書が指定されている授業なので,教科書の記述のそのままの説明というよりは,スライドを見せながら背景や意味を話すようにしていたのが失敗のようです.)
  • この授業は一番難しいと思っています.(こちらとしては,「教科書」が指定されている授業でしたので「少しは予習しろ」と思っていたのも事実ですし,授業中に明らかに高校の範囲の質問をしてみて,「これは無理か」と思っていながら,そのまま進めてしまった部分も確かにあります.)


最近,今の大学で修士一年の授業の期末試験の採点をしたのですが,「専門」というよりは「常識」のレベルで"コレは知っていて当然だ"という意味では,かなりショックが大きかったです.来年も同じテーマで授業するならどうしたものか悩んでいます.

「知っている」かどうかもそうですが,記述式の答案に論理的な作文が出来ていない学生も多いのですが,それは修士過程で今更「リメディアル教育」すべき内容ではないですよねえ...

引越し荷造りからの逃避でした...
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by nobu_san | 2009-08-11 15:21 | 大学問題
2009年 08月 09日
喫煙イエローカード
通勤バス・電車で元岐阜大学長の黒木登志夫氏の「落下傘学長奮戦記」を読んでいました.

国立大学法人化のいくつかの問題点に法人化してから気がついたとされていることとか,「反対者」だった私としては,なんでやってみないと分らなかったの,と思ったりもしますが,この本が大学関係者以外の多くの人に読まれれば,と思います.

さて,この本を読むまで岐阜大学がキャンパス内完全禁煙にされていることを知りませんでした.禁煙を大学が実施するべき「健康教育」としてとらえており,「分煙は喫煙を認めること」になるとして排除しています.実際に卒年時の喫煙率に減少傾向が現われていて「健康教育」としても成功しているようです.うちの大学でも前任校でも,「禁煙にすると隠れて喫煙して防火上危険」という妙な議論で「分煙」で妥協されているようですので,これは画期的と思います.

キャンパス内での喫煙者には,学生・教職員・外来者を問わず「イエローカード」を渡すというのが面白いです.

実は,今年度のうちの大学の総長裁量経費に,「歩行禁煙を徹底させる」趣旨の提案をしてみましたが,研究科執行部での検討の結果,本部施設部の仕事ということで私の申請は取り下げになり,環境安全支援課から「今回、総長裁量経費での要求は見送るが、今後はこれを要望として、しかるべき委員会・WG等で検討していく」という「連絡」が来ています.しかし,特に学内で何か対応されているような気がしません.敏感な私の目に付かないということは,喫煙者には何も働きかけがされていないのではと思います.来年度はもっと具体的に「イエローカード作成」として再提案してみようかな...
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by nobu_san | 2009-08-09 17:48 | 嫌煙