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2005年 07月 30日
大学の施設の「計画」
昨日の「大学の施設管理」にコメントやトラックバックがあったので,コメントしようかと思ったのですが,blog本体に書くことにしました.

無計画や現場でのつじつま合わせの実態は随分ありそうですね.しかし,おそらく「民間」でもそんな話はいくらでもあるんだろうと思います.「普通の企業」では,たぶんもっとちゃんとつじつま合わせがされているというだけのことなのでしょう.

無計画と言えば,昨日の北海道新聞が「最速スパコン誘致」として,北海道が,文科省が開発を検討している世界最高性能の次世代スーパーコンピューターの施設誘致に名乗りを上げる方針を決め,北大・北キャンパスと苫東の二カ所を候補地としていることを報じています.

北大・北キャンパスは,もともと広大な農場が広がっていたものが,少しずつ切り崩されて「産学官連携」の拠点が形成されて来ています.ここに,さらに「大規模な体育館」のようなスパコン施設を誘致するかどうかといったことについて,どこでどういう検討がされているのでしょうか.報道では,総事業費は約1千億円とか.経済への波及効果も期待されていますが,単純に「土地ならそこにあるぞ」ということで無ければ良いがと思います.いや,そういうのがもしかしたら「法人」大学の「経営感覚」でしょうか.大学が,補助金獲得のためにどんどん箱ものを建設していった地方自治体と同じような路をたどっていなければ良いのですが.
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by nobu_san | 2005-07-30 23:50 | 大学問題
2005年 07月 29日
大学の施設管理
7月27日付朝日新聞が「国立大、施設管理ずさん 8割が工事履歴残さず」として,「国立大学の8割は過去にどんな施設工事をしたかすら記録していない。こんな国立大学のずさんな管理状況が、文部科学省の実態調査で浮かび上がった。」と報じている.

事実はそうかも知れない.何かの工事をしようとして,何が問題になるかが分からず,結局現場を歩いて確認するなんてことはたぶん「普通」だろう.しかし,運営費交付金削減に対応するため,教職員の削減や業務のアウトソーシングの検討を進めている大学では,なぜそうなってしまっていたのかの分析がもっと必要ではないか.報道では「施設の完成時に建設会社から引き渡された図面を工事担当の施設部門がしまいこんだままにしたり、国立大学では学部ごとに予算が配分されていたため各学部が勝手に修繕をしたあと本部に届けていなかったりしたのが原因という。」とし,「民間から会議に参加した専門家委員は、『普通の企業ではありえない』と指摘した。」としている.

私立大学と国立大学の比較もされていて,私立大学の方が優秀だ.私には,国立大学が管理職を文科省人事で短期間に回し,大学生え抜きの職員を育てて来なかったのが原因の一つなのではないかと思える.こういう事実が明らかになると,たぶん「システム」が検討されるのだろう.しかし,実はこういう問題は「システム」の問題ではなく,「人」なんじゃないか.
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by nobu_san | 2005-07-29 23:00 | 大学問題
2005年 07月 25日
多様化する若手研究人材のキャリアパスについて
科学技術・学術審議会人材委員会(主査:小林陽太郎富士ゼロックス株式会社取締役会長)による標記の「検討の整理」の報告書が,文科省のホームページに掲載されていることが全大教のメールリストに流れていました.

私自身は,ちょっと余裕が無くて全然読んでいませんので全く無責任ですが,先日quibbleさんの「日本の制度」が分からないというコメントがありましたので,どういうことが考えられているのか,もしかしたら参考になるのかなと思い紹介しておきます.
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by nobu_san | 2005-07-25 23:22 | 大学問題
2005年 07月 21日
法人化と教員削減
私たち「反対者」にとっては「想定の範囲内」だが,法人化以降も教員を含めた人員の削減は続く.研究科の将来計画委員会の議事メモといっしょに,「教員に係る人件費について(部局長会議資料)」が伝えられた.

確かに法による「定員削減」は無くなったが,結局「人件費削減」という別の形での人員削減システムが確立された.大学「経営者」サイドからは「約束が違う」と怒る声ではなく,効率化係数による運営費交付金の削減の説明と,それによる教員削減の必要性の説明が伝えられる.「各教室等で意見があれば,8月19日までに庶務掛と研究科長にメールで知らせることにした。」とされているが,伝えられる一般教職員も,無い袖は振れない大学の状況を知れば大して文句も言えないというところか.

国家公務員の定員削減から逃れるためにも法人化が必要と主張していたのはいったい誰だったのだろうか(例えば,2005.4.21の「じだんだ」参照).それこそ「ごまめのはぎしり.いしがめのじだんだ」だが,国立大学法人法制定時の衆参両院の附帯決議は,こうだった:

衆院:
六 運営費交付金等の算定に当たっては、公正かつ透明性のある基準に従って行うとともに、法人化前の公費投入額を十分に確保し、必要な運営費交付金等を措置するよう努めること。また、学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、適正な金額とするよう努めること。

参院:
十二 運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性・透明性を確保するとともに、各法人の規模等その特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。

附帯決議さえ上げれば,どんな法律も通してしまう国会の無責任を今更問うても仕方がない.

人員増を望むなら競争的資金を稼ぎなさい,ということかも知れないが,おかげでなにやら申請書のためという調査だの書類が続く.教員に時間を使わせて「稼ぐ」ことばかりを考えさせるのはそれこそ税金の無駄使いだと,私は思うのだが...
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by nobu_san | 2005-07-21 23:17 | 大学問題
2005年 07月 18日
総合科学技術会議議事録要旨
6月16日開催の第47回総合科学技術会議議事要旨を見てみた.三流教員としては,国のお考えのようなものを気にする必要も無いのだろうが,科研費も不採択で財団の申請書を作成中の気晴らしである.

「議長」の発言を含めて,議事録要旨は「読み物」としては結構面白い気がする.しかし,ここでの「議論」が,最終的に「科学技術基本政策」となっていく道筋は読み取りにくい.まず驚くのは開催時間がわずか「1時間」ということだ.ついでに46回の議事録(案)も見てみたが,やっぱり開催時間は1時間程度だ.会議下手の私としては驚くばかり.忙しい「議員」や内閣総理大臣が議長として出席する会議としては,1時間は十分長い会議ということか.しかし,議事要旨をみても,議院は言いっぱなしで,これを毎回1時間でやっているということは「事務局」が頑張っているのだろうなあということが想像される.
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by nobu_san | 2005-07-18 23:38 | 大学問題
2005年 07月 14日
国家公務員給与引き下げと大学の運営費交付金
6月17日開催の国立大学法人学長等会議で文科省高等教育局長が行った説明の『概要』が,新首都圏ネットワークで公開されている.

「5 経営上の諸課題について」の,①人件費管理についての中で,今年の夏の人勧で予想されている国家公務員の給与引き下げと地域給導入と運営費交付金についての「説明」があった.国家公務員の5%給与引き下げがあっても,運営費交付金は直接引き下げることは(今のところ?)ないらしい.

①人件費管理等について
「人件費」については、法人化し、運営費交付金についても人件費と物件費の区分を設けないこととしたことから、各大学の自由度は飛躍的に高まるとともに、交付された運営費交付金を踏まえて、自らの責任において中長期的な視野も踏まえながら人件費を管理する必要。
(略)
なお、これに関連して、人事院勧告と運営費交付金との関係についていくつかの大学から質問【埼玉大学、お茶の水女子大学、福井大学、豊橋技術科学大学、熊本大学】。これについては、法人化により国立大学法人の教職員の身分は非公務員となったことから、給与についても各国立大学法人が定める給与支給規程に基づき支給。また、この運営費交付金算定ルールにおいては、国による人件費・物件費といった積算区分を設けずに、各国立大学法人が自由な人事設計や組織運営がより機動的・弾力的に可能となるように配慮しているところであり、人事院勧告を直接反映させる仕組みではない。したがって、仮に今回の人事院勧告により、地方における俸給水準が引下げられたとしても、各国立大学法人の運営費交付金が減額されるようなことはない(なお、前述のとおり、経済財政諮問会議のいわゆる「骨太の方針2005」における「公務員の総人件費抑制」の具体的な内容は現段階では不明)。

ただし,この直後に,

一方、国立大学法人の給与については、国立大学法人に準用する独立行政法人通則法第52、63条において「社会一般の情勢に適合したものとなるよう定めなければならない」旨規定。また、閣議決定(平成16年9月10日)においても「独立行政法人(国立大学法人及び大学共同利用機関法人を含む。)の役職員の給与改定に当っては、国家公務員の給与水準を十分考慮して適正な給与水準とするよう要請」。各国立大学法人においては、人事院勧告も考慮した上で適正な給与水準となるようにすることが求められる。

とある.昨年の冬どこかの大学で聞いたことがある主張そのままだ.これは,この秋,昨年の寒冷地手当と同じことが,今度はもっと広範囲の大学で起こることを意味している.うちの組合が寒冷地手当問題をなけなしの労力を使って未だに争っていることに強い批判もあるが,そういう方々,これを読んでどう思われるか.
(ところで,うちの大学は「人事院勧告と運営費交付金との関係について」は質問していないのね...さすがに)
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by nobu_san | 2005-07-14 00:34 | 大学問題
2005年 07月 08日
「魅力ある大学院教育」イニシアティブと教員任期制
「現代社会の新たなニーズに応えられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため、大学院における意欲的かつ独創的な教育の取組を重点的に支援する」として「魅力ある大学院教育」イニシアティブが公募されている.
計画調書を見ていて気がついたのだが,調書には教員の「任期制」の導入状況を具体的に書かせる項目が2カ所ある.

11-(3)-① 教員組織の整備(下記の点について具体的に記入してください。)
2)教員組織の活動をより活性化するための措置について(例えば、任期制や公募制、外国人教員の確保、教育評価の人事処遇への反映方法など)

と,

任期制、公募制の導入状況(教員組織の活動を活性化するための適切な措置の例として挙げられている「任期制・公募制の導入状況」について、該当する欄に○を付してください。)
任期制  導入している  一部導入している  導入していない

である.

なるほど,大学が「助教」に急いで任期制を導入しなくてはならないはずである...

しかし,これは我々の反対を押し切って教員任期制法を制定した時の衆参両院の附帯決議に明かに反している.附帯決議は,

衆院

一.任期制の導入によって、学問の自由及び大学の自治の尊重を担保している教員の身分保障の精神が損なわれることがないよう充分配慮するとともに、いやしくも大学に対して、任期制の導入を当該大学の教育研究条件の整備支援の条件とする等の誘導等を行わないこと。

参院

一.任期制の導入によって、学問の自由及び大学の自治の尊重を担保している教員の身分保障の精神が損なわれることがないよう充分配慮するとともに、いやしくも大学に対して、任期制の導入を当該大学の教育研究支援の条件とする等の誘導や干渉は一切行わないこと。


であった.この申請書が「誘導」ではないとは,カメ頭の私には到底読めないのだが....
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by nobu_san | 2005-07-08 23:52 | 大学問題
2005年 07月 03日
大学の「組合」は必要?
「組合が無いと困るという状況に追い込まれないと組合員は増えない」というご意見があります.「無いと困る」という状況がどの程度のものなのかというところで議論出来そうですが,現状は「困らない」ということでしょうか.まあそうなのかも知れません.ただ,これまで大学の組合が弱かった結果は,例えば以下のように,今でも簡単に観ることが出来ます.

国立大学法人の教職員の給与が,「文部科学省所管独立行政法人及び国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与の水準(平成16年度)の公表について」ということで公開されています.

どの大学のでも良いと思いますが,試しにPDFファイルをダウンロードして見てみて下さい.「組合員」としては,役員報酬にも興味がありますが,ここで見てほしいのは:

II 職員給与について
②年間給与の分布状況(事務・技術職員)のグラフと,
⑤職員と国家公務員及び他の国立大学法人等との給与水準(年額)の比較指標(事務・技術職員)

の部分です.
うちの大学の場合,大学の事務・技術職員は同じレベルの行政職の国家公務員(これを100とする)と比べてみて,給与水準は86.6と,相当低くなっています.今年,人事院勧告でもしも一律5%給与の引き下げがあって,寒冷地手当の時同様,大学にもそのまま準用されたら,低いのがさらに低くなってしまいます.(教員は他の国家公務員の教員と比べてほぼ100です.これは当たり前でしょう.例えば他の研究職と比べてどうでしょうか?)

こういうことは「組合」ではいわば常識になっていますが,もしかしたら,「組合」には関心の無い多くの教員の皆さんはご存知ない(興味も無い?)のではないでしょうか.まあ,私自身は「教員」なので,これが私自身にとっての「組合が無いと困る」理由かと言われるとちょっと弱りますが,職員の処遇が悪いことが,結局は教員の教育・研究環境を引き下げていることは「医学教育のひろば」でも指摘されているとおりと思います.
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by nobu_san | 2005-07-03 22:44 | 大学問題