カテゴリ:憲法・平和( 89 )
2005年 06月 12日
「改憲必要」64%
今日の北海道新聞の朝刊2面に,日本世論調査会の調査結果として,「憲法を改正する必要がある」,「どちらかといえば改正する必要がある」を合わせて64%に上ると報じている.
しかし,私にとっては昨日の今日である...

「調査は4,5日に面接方式で実施」とあるが,調査数,回答数は報じられていない.16年12月4,5日の同会の調査は「20歳以上の男女3,000人(1,765人回答:58.8%)の層化二段無作為抽出法,直接面接方式」だったから,今回も同様か.

道新は『「改憲必要」64%』を見出しにした.<解説>にも『憲法をめぐる世論調査で改正派が64%を占めたことは,改憲問題が国民意識においても「論憲をタブー視しない」段階から,具体的に何をどう改正するのか,しないのかを議論する段階に移行したことを裏付けた形だ』としている.しかし,そんなの調査の設問が,前回は「改正に向けて、積極的に議論すべきだ」,「議論した結果、改正することがあってもよい」..だったのを今回「改正する必要がある」,「どちらかと言えば改正する必要がある」..に変えちゃったからではないのか?
世論調査が「世論」をミスリードする.

だいたい,そもそも,もしも今回も問1で「憲法問題に関心がありますか」を問うているのであれば,以下の設問は「関心がある」人の分布を分析し公表すべきではなかろうか.このアンケート,普段憲法のことなど真剣に考えたことも無いような人が「抽出」されて面接で質問されたらどう回答するのだろうか(世論とはそういうものか).「改正に向けて、積極的に議論すべきだ」「議論した結果,改正することがあってもよい」と答えた人に問うている「あなたがそう思う最も大きな理由」では,前回同様「憲法の制定が時代に合わなくなっているから」が60%と最多を占めているが「時代に合わない」とはなんとも曖昧な...
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by nobu_san | 2005-06-12 16:29 | 憲法・平和
2005年 06月 11日
小森陽一さん北区里がえり講演会
小森陽一さんの講演会に出かけて来た.もちろんテーマは「憲法9条」.立ち見が出るほどで,750人くらいの参加者だった.

憲法前文の読み方,憲法9条と国連憲章の関係といった憲法そのものの話から,米英の「集団的自衛権」の行使とイラク戦争,さらにはその背景にあるアメリカの世界戦略(カスピ海沿岸からインド洋),そしてアジアの現状と9条の生きた効果までうまく話された.今,改憲勢力がなぜ憲法を変えようとしなければならないのかが非常に良く分かった.

教育基本法改正論議で必ず話題になる「愛国心」もフランス革命期に兵士に国民を大量動員するために政府が作り出した歴史の浅い人工的な概念であることも指摘された.

あらためて憲法,教育基本法を変える必要は無いことを確認した一日となった.

  • 9条は国連憲章1条,2条を基に,さらに積極的に国際平和を「希求」している.「一国平和主義」などでは無い.
  • 99条で天皇,3権,公務員に憲法尊重,擁護の義務が課されているが,12条で「不断の努力」が国民に要請されている.
  • 新たな「権利」を規定しようという加憲の主張にも憲法13条があれば十分.



余談だが,小森さんが導入部分で,東大の教授になる時に書いた「宣誓書」の話をしていた.私も最初に国家公務員になった時に署名させられたが,こんなの.

    宣  誓  書

 私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき
責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の
職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たるこ
とをかたく誓います。
     年 月 日
                    氏    名

要は,「日本国憲法を遵守」する義務を負っているのは国民ではなく公務員を含む「国」の方なのだ(憲法99条)ということだ.私は去年の国立大学法人化によって,有無を言わせず国家公務員から法人職員にされてしまった.もう私の宣誓書は不要だろうが,返してもらってない...


「ごまめ」から「かめ」にしたからでもないけど,更新が遅くなってしまった.
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by nobu_san | 2005-06-11 22:58 | 憲法・平和
2005年 05月 26日
自分のことは自分できめる
11の約束 えほん 教育基本法(ほるぷ出版)を買って来てうちに置いておいた.

つれあいによると,うちの小2と年長の娘達が読んでいたらしい.
しめしめ....と思ったら,

1条
教育は,めざします.
一人ひとりのうちにめばえたものが大きく育ち,
それぞれに花ひらくことを.
...
自分のことは自分できめる
...

「おとうさんがいろいろきめちゃあいけないんだよね」
と言っていたそうな...
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by nobu_san | 2005-05-26 00:02 | 憲法・平和
2005年 05月 13日
教育基本法仮要綱案と「愛国心」
11日,文科省が与党の教育基本法改正に関する検討会に同法改正の仮要綱案(未公表)を提示したと報じられた.各新聞報道は「愛国心」をめぐる表記を焦点として紹介し,「国を愛し」(自民)か「国を大切にし」(公明)の争いをまず第一に伝えている.それに対して民主党が「愛国心」に代わる新たな表現を検討するとしている.

しかし,問題は表現論ではあるまい.どう表記するかによらず,三党には「国」というものを権威として国民に重視させたいとの共通の要求があろう.「平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛」する国民を育てることから,「国」に服従する国民(愛国心=忠誠心)を育てる教育を目指す法に変えようという意識は変わらないように思える.

「愛国心」が,日本とは戦後処理で別の道を歩むドイツのワイツゼッカーが演説の中で引用したような
Our country, right or wrong. When right, to be kept right.
When wrong, to be put right. ( Carl Schurz, 1899. )
を意味するのなら良いが,皇国史観のようなものの台頭を許すようでは先が暗い.
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by nobu_san | 2005-05-13 00:06 | 憲法・平和
2005年 05月 02日
メーデーに思うこと
今年のメーデーは雨でした.特に,「LOVE 9」の人文字を作っていたあたりは結構寒く,応えました.

デモ行進のころはほとんど雨が降っていなかったのですが,私にはメーデーのデモ行進はあまり「楽しく」ないです.お祭りと言ってしまえばそうなのかも知れませんが,示威行動としては訴えが包括的すぎなのかも知れません.学生時代の学費値上げ反対のデモ行進や,一昨年の国立大学法人化反対デモ行進の方が規模は小さかったけれどもシュプレヒコールにも力が入り,「楽しめ」ました.もちろん働く者がメーデーに集まって仲間を感じて元気になって職場に帰る意味は大きいと思います.しかし,大規模なデモ行進が「お祭り」だから出来ていることなのだとするとちょっと変です.本当はメーデーに組織されない不安定雇用者の中に,もっと問題が山積しているのでしょうし,何が起ころうが決して声をあげようとしない多くの人々の存在も不気味です.

国立大学法人化には,結構な大学人が「反対」だったと思いますがデモ行進はとても小規模でした.そこまでしない座っていて参加できる新聞意見広告も十分な賛同者を確保するのに苦労しました.理由はいろいろあります.忙しい,それどころじゃない,何も自分がそこまでやらなくても,目立ちたくない.でもそれで良かったのでしょうか.法人化後,ぶつぶつ言っている先生方...
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by nobu_san | 2005-05-02 00:50 | 憲法・平和
2005年 04月 24日
憲法改正法案「国民投票運動に関する規制」と教員
参加しているメールリストで流れて来たので,日本国憲法改正国民投票法案をみてみた(今頃見ていては不勉強かと思いながら).基準が拡大解釈可能であいまいな上に,一旦改正が発議されたら国民の間では一切議論をさせないぞとでもいうような厳しい規制内容が色々批判されているようだが,一応「教員」として一番関係ありそうなところを見ると, 第十三章 国民投票運動に関する規制 65条(教育者の地位利用による国民投票運動の禁止)は,
第六十五条 教育者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校の長及び教員をいう。)は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して国民投票運動をすることができない。
となっている.

この「教育上の地位の利用」はどうだろう.署名付きで新聞に投書とかしてはダメだろうか? このblogは一応匿名だから何を書いてもいいかな? もしかしたら,研究室の雑談で教員が「私は改正に反対だ」と学生に話をすることも問題があるのではないだろうか? だいたい,憲法改正が発議されたら,学校で「憲法教育」をしてはいけなかったりするのだろうか?
現行憲法を授業できちんと教えることは,この条項に絶対違反するだろう...
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by nobu_san | 2005-04-24 00:05 | 憲法・平和
2005年 04月 15日
憲法調査会最終報告
憲法調査会が最終報告を提出した.713ページもある!ので,まだ「まえがき」と「各会派の意見」程度しか見ていない.先日書いた89条も中山太郎の「まえがき」(~「憲法と現実との乖離」による憲法規範性の低下の懸念~)に

以上の調査を通じて浮かび上がってきた問題に、憲法規範と現実との乖離がある。これまで論じられてきた憲法9 条(戦力不保持と自衛隊の問題等)や憲法89 条(私学助成と、公の支配に属しない教育等の事業に対する公金の支出等の禁止)だけではなく、裁判官報酬の引下げと憲法79 条・80 条の裁判官報酬の減額禁止規定との関係なども、その典型的事例の一つであろうし、憲法の規定が十分には現実に活かされていない種々の問題も挙げられよう。これらを憲法上問題ないとするのは、主権者である国民にわかりやすい解釈とは言えまい。

と,「ちゃんと」出て来ていた.

新聞報道も参考にしながらめくってみると,「前文」については,「我が国固有の歴史・伝統・文化等を前文に明記することの是非に関する議論が行われたが、意見が分かれた。」が「明記すべきであるとする意見が多く述べられた。」とある.現行憲法の前文を考えると,ここに「伝統」や「文化」が書き込まれるのにはかなり違和感がある.また,「英語の文章構造に基づく、いわゆる翻訳調のものであることから、日本人の発想に基づいた、分かりやすい日本語で書かれたものに改めるべきであるとする意見や、シンプルなものに改めるべきであるとする意見が多く述べられた。」も気になる.しかし,現行の憲法前文は理系の私には格調高く思え,暗唱にも耐えると思える.これが「平易な日本語」になってしまうのはかなり哀しい.89条もそうだが,こんな議論も含め,軽重とりまぜて713ページも使って「改憲」の必要性を主張しているだけか?

旧文部省の「あたらしい憲法のはなし」には,
この國際平和主義をわすれて、じぶんの國のことばかり考えていたので、とうとう戰爭をはじめてしまったのです。そこであたらしい憲法では、前文の中に、これからは、この國際平和主義でやってゆくということを、力強いことばで書いてあります。またこの考えが、あとでのべる戰爭の放棄、すなわち、これからは、いっさい、いくさはしないということをきめることになってゆくのであります。
とされている.前文を「平易」に書き換えるついでに,こんな宣言は消え去ってしまうのではないだろうか.
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by nobu_san | 2005-04-15 23:23 | 憲法・平和
2005年 04月 12日
国連,教科書,大学の三題噺
中国の反日運動と,その原因をみていると日本という国は本当に分かりにくい.国連常任理事国入りを目指していたりするのに,なぜ対アジアの戦争責任の清算が出来ないのか.むしろ,それを積極的に次世代に伝えない教科書を作ってみたり,国としての明確な将来計画とか方針といったものは無いのか知らん.

トップダウンの運営が出来るようになったといいつつ,全学的な将来計画の見えない部局再編を進めているどこかの大学と同じように,結局それぞれの部門が,勝手ばらばらに仕事をしているだけか.

10月末に北京でワークショップがあり,講演内容作りに焦っている私としては,このまま日中関係が悪化して中国への渡航が規制されるようになればいいのにとちょっと期待.(もちろん冗談です.)
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by nobu_san | 2005-04-12 23:25 | 憲法・平和
2005年 02月 24日
自衛隊は「エンジニア」?
昨晩(もう一昨晩だ)のVOAのニュースを聞いていたら,オーストラリアが派兵することについて,

"Australia announced today they will send 450 more troops to southern Iraq to help providing for security to Japanese engineers working there. "

てな感じで報じていた.はて,自衛隊が行っているんじゃなかったっけ.日本の新聞等のニュースでは,「自衛隊の警護を小泉首相も要請したもの」と報じられている.エンジニア??

VOA(アメリカ人)の感覚では,自衛隊は迷彩服を着たエンジニア集団なのだろうか.いや,オーストラリアでも反対の声があるという.あれだけの「軍隊」の警護にオーストラリア軍が出て行くということは説明しにくいのではないか.やっていること,やらせたいこと,望まれていることの間の矛盾が,報道にも出たものと思うがどうだろう.


"engineer" は「工兵」なので上の私の解釈は間違いのようです.katsuyaさんコメントありがとう.
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by nobu_san | 2005-02-24 01:26 | 憲法・平和