2005年 04月 15日
憲法調査会最終報告
憲法調査会が最終報告を提出した.713ページもある!ので,まだ「まえがき」と「各会派の意見」程度しか見ていない.先日書いた89条も中山太郎の「まえがき」(~「憲法と現実との乖離」による憲法規範性の低下の懸念~)に

以上の調査を通じて浮かび上がってきた問題に、憲法規範と現実との乖離がある。これまで論じられてきた憲法9 条(戦力不保持と自衛隊の問題等)や憲法89 条(私学助成と、公の支配に属しない教育等の事業に対する公金の支出等の禁止)だけではなく、裁判官報酬の引下げと憲法79 条・80 条の裁判官報酬の減額禁止規定との関係なども、その典型的事例の一つであろうし、憲法の規定が十分には現実に活かされていない種々の問題も挙げられよう。これらを憲法上問題ないとするのは、主権者である国民にわかりやすい解釈とは言えまい。

と,「ちゃんと」出て来ていた.

新聞報道も参考にしながらめくってみると,「前文」については,「我が国固有の歴史・伝統・文化等を前文に明記することの是非に関する議論が行われたが、意見が分かれた。」が「明記すべきであるとする意見が多く述べられた。」とある.現行憲法の前文を考えると,ここに「伝統」や「文化」が書き込まれるのにはかなり違和感がある.また,「英語の文章構造に基づく、いわゆる翻訳調のものであることから、日本人の発想に基づいた、分かりやすい日本語で書かれたものに改めるべきであるとする意見や、シンプルなものに改めるべきであるとする意見が多く述べられた。」も気になる.しかし,現行の憲法前文は理系の私には格調高く思え,暗唱にも耐えると思える.これが「平易な日本語」になってしまうのはかなり哀しい.89条もそうだが,こんな議論も含め,軽重とりまぜて713ページも使って「改憲」の必要性を主張しているだけか?

旧文部省の「あたらしい憲法のはなし」には,
この國際平和主義をわすれて、じぶんの國のことばかり考えていたので、とうとう戰爭をはじめてしまったのです。そこであたらしい憲法では、前文の中に、これからは、この國際平和主義でやってゆくということを、力強いことばで書いてあります。またこの考えが、あとでのべる戰爭の放棄、すなわち、これからは、いっさい、いくさはしないということをきめることになってゆくのであります。
とされている.前文を「平易」に書き換えるついでに,こんな宣言は消え去ってしまうのではないだろうか.
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by nobu_san | 2005-04-15 23:23 | 憲法・平和
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