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2011年 04月 22日
子供の被ばく線量制限の緩和問題
文部科学省が児童の放射線許容量を年間20mSvとする安全基準を出したことに関して,21日にあった「交渉」の様子の情報をJSA愛知のMLでもらいました.

YouTubeのビデオ画像もここで見られます.他にもたくさんのblog等でも紹介されているようです.

放射線作業従事者(男)で50mSv/年ですよね.普段我々の居る管理区域の規制値(境界で1.3mSv/3月)からしても,低くはないですねえ.20mSv/年は普通の労働者だと10μSv/時くらいでしょうか.
ちなみに20mSv/年は1990年のICRP勧告では,原発労働者が白血病になった際に労災認定されるレベルとのことです…ちゃんと調べてないけど…もしそうなら要は健康に問題があったら放射線被ばくが原因だとして補償してもらえるレベルだということですよね…

しかし,今,この時期に,なぜそんな「仕事」の仕方をしないといけないのでしょう…なぜ文科省が規制値を上げて,子供達も「大丈夫です」って認めないといけないのでしょう.「福島県から要請があった」と言っているけど…どうしようにも仕方がないから,じゃあ規制値の方を引き上げて「問題が無いこと」にしてしまおうという発想(と思えますよね)は,ちょっとどうかなと思います.数字の方をいきなり20倍も引き上げて「大丈夫だ」としたら,そりゃあ怒るに決ってます.数値を上げて「大丈夫」としてしまうことは,全く責任のない福島の児童に,リスクを負えと言ってしまっている,そういうことだということに,なぜ気が付かないのでしょうか.

今,なぜ児童の許容線量の「数値」の方を急いで修正しないといけないのかが,私には理解できません.事実として多数の児童がそういう環境になる状態が現に在り,違法状態が大量に発生することを「国」は放置しておけない(逆に放置しておけるようにするには…)というだけの論理ではないでしょうか…20mSv以下の学校に帰って来ない児童は「自己都合」だってことにするのかな…いじるのは数字の方ではなくて,該当する児童の方をどうするのかを考えることの方が国・文科省の本来の「仕事」のように思います.とても大変でしょうけど.

しかも,このビデオに出て来る「担当者」の答弁はどうしようもないです.20mSvの意味や,この決定に対する内閣府原子力安全委員会の関与等,どういう経緯でこの数値にしたのかも全く説明が出来ていないで,かなり悲しくなります…



補足:20mSv/年は,ICRPが事故復旧時に住民が住み続ける場合の制限値として「年間の被ばく量を多くても1mSvから20mSvまでにとどめるべき」としている上限値なんですねえ…
しかし,上のYouTubeのビデオ画像では,なぜ担当者がそういう説明(それで良いかは別にして)をしないで,いい加減な回答をしてしまうのでしょうか…安易にどこかから上限の「数字」をもらって来るからですね…
by nobu_san | 2011-04-22 10:18 | 憲法・平和
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