2004年 10月 14日
「社会一般の情勢」
5日の「はぎしり」の続きである...

北大の札幌キャンパス過半数代表者は,寒冷地手当削減の就業規則不利益変更に対して,20日までに意見書を提出することを決めた.

大学側の削減理由の説明は,大学法人法が独立行政法人通則法の非公務員型職員の給与条項「給与及び退職手当の支給の基準は,当該独立行政法人の業務の実績を考慮し,かつ,社会一般の情勢に適応したものとなるように定めなければならない.」を準用しており,北大としてはそこにある「社会一般の情勢」の判断材料として人事院勧告が含まれると考えるというものに尽きると思う.

法人化後,公務員で無くなった大学職員と大学法人の労使関係に基づく議論でなく,「社会一般の情勢」が北大職員の労働条件を決めるのだという主張は,未だに納得出来ない.

それにしても,今回の過半数代表候補者の対応も,私にはどうにも理解出来ない.
こんな状況では「意見書を書いてもむなしい」,「意味が無い」,「セレモニー化している」,「ガス抜きになっている」等々としながら,それでも『意見書を書いて,きちんと反対の意思表示をしておかなければ』ということで意見書を提出することになってしまった.それなら意見書を出すなという私の主張は出席者多数の賛同を得られなかった.

「社会一般の情勢」という得体の知れないものを相手にしなくてはならなくなる.

しかし,独立行政法人通則法が出来た時には何も思わなかったが,法律を作る人は良く考えていると実感した.公務員型の場合,
前項の給与の支給の基準は、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける国家公務員の給与、民間企業の従業員の給与、当該特定独立行政法人の業務の実績及び中期計画の第三十条第二項第三号の人件費の見積りその他の事情を考慮して定められなければならない。
となっているのが,非公務員型では上にも書いたが,
前項の給与及び退職手当の支給の基準は、当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない。
となっている.「非公務員」だから後者のようにしか書けないのだろうが,今回の北大の対応でも分かるように,実質的には両者は何も変わらない(いや,違うというのだろうが,北大の中期目標・計画にはH19年導入を目指すとしている「新人事制度」の構築には,「公務員制度改革大綱」(平成13年12月25日閣議決定)に基づく改革の進展状況や私立大学における動向等を勘案しつつなどと書かれている.)

今回の寒冷地手当削減に関して,事務系職員代表がアンケートを実施している(回収率31.4%).「人事院勧告に従った支給方法でよい」が回答中58.2%で最も多かった.人事院勧告に従った給付方法で良いと回答した人の意見の中で3割くらいの人が「法人化となっても給与は国の税金を原資としており,独自に支給することは大学運営に支障をきたすこと,及び評価を受ける際不利となり得ない(ママ)ため,人事院勧告に則した支給方法をすべきである.」としているそうだ.一般職員でさえ,非公務員となった自らの労働条件よりも国の「評価」の方を気にするのが普通のようだ.

H13年に行政改革推進事務局から「公務員制度改革の大枠」が出たためにふっ飛んでしまったが,総務省の公務員制度調査会労使関係の在り方に関する検討グループでも,財源が国の税金であることは踏まえて,その上で労使間で労使自治に基づいて労働条件を決めることが必要であるという議論がさんざんなされていたのだが...

数年前の教員任期法の時に,ある人に「文部省は楽だ.適当に仕組みを作ってしまえば,あとは大学の方で勝手に圧力を感じてやってくれる」と言われたことを思い出した.
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by nobu_san | 2004-10-14 01:05 | 大学問題
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