2004年 09月 27日
徹底検証 大学法人化
中井浩一氏の「徹底検証 大学法人化」を読んだ.おかげで,4月の法人化の裏にあった社会情勢をある程度整理することが出来た.

しかし,やはり,なぜ今年の4月に,こういう形で国立大学をドタバタと「法人化」してしまったのかはさっぱり分からない.結局それぞれ異なる立場にあり,多様な背景を持つ人々が,それぞれの思惑でデタラメに動いたために,全体としてはなにやら得体の知れない方向に流れてしまったという感じか.国立大学は,小泉流でとりあえず壊してしまえばなんとかなるという類いのものではないと思うだけに,納得出来る方向性が見えないことに大きな不満(不安)がある.

「徹底検証 大学法人化」の主役は,教育・研究である.大学は教育・研究のシステムとして論じられている.「公務員」の身分の議論も,教育公務員特例法との関係もあろうが,教育・研究者としての自覚問題として論じられている.しかし,有無を言わせず「非公務員」とされたことの不合理は,教員だけでなく職員の問題でもある.

私自身は教員である.決して好き好んではないが,法人化後の職員組合の役員として法人化を観る立場に置かれている.法人化前の国立大学には,学生のため,教育・研究を支えるため,大学をきちんと動かすために,不払い残業をしても頑張る職員も多く居たのである(もちろんいわゆるダメ公務員も居たが).法人化を契機に,それらの職員の働きが正当に評価され,より力の出るシステムにするような議論があっただろうか.実態は全く逆に見える.「時報」を見ると,大学の上層部では相変わらず中央との人事交流があり,その下のローテーション組もそのままだ.頑張っても決してそうした上層部に昇格する可能性の無い現場の職員は,法人化に対応するという新しい仕事も抱えてしまった.役員が(たぶん)まともに機能していないこともあろうし,彼ら自身にも上意下逹の公務員気質が抜けないために,気の毒にも我々労働組合と文科省の板挟みにもなることになってしまった.

私は10年くらい前に,教育・研究を支えている優秀な技官には教授よりも高い処遇をしたらどうかという提案をネット上で発言したことがある.法人化で出来るはずだったことは,例えばそういうことではないのか.欧米の主要な研究所等では自前の開発部隊を持っていて,そこからベンチャーも生まれている.しかし,法人大学の実態はこういう部門は出来るだけ統廃合し外注化しようという逆の方向に向かっているように見える.

前にも書いたが,4月以降,喜々として法人化に伴う業務に励んでいるような職員は誰一人居ないのではなかろうか.少なくとも教職員が元気にならないような大学のシステムに将来は無い.
[PR]
by nobu_san | 2004-09-27 22:34 | 大学問題
<< 「要請」 寒冷地手当 >>